暗い想像力によって徐々に、異様な秘密がどこかの並行世界にあるかも知れぬと思うことの自由について その条件とは?

先月だったかな・・・とにかくイスタンブールから帰って来てから読んだイギリス在住の作家、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』"Never Let Me Go" が映画化されていたのを昨夜知った。
アメリカ公開 9/15、日本は来春公開予定。
クリップを発見した。
http://heartattack507.blog84.fc2.com/blog-entry-2797.html

メインの三人、キャリー・マリガンアンドリュー・ガーフィールドキーラ・ナイトレイ
キャスティング、よいのではないでしょうか。原作の雰囲気に近いと個人的には感じます。
簡単にネタばれになるので、作品の詳細には触れません。
イギリスの寄宿学校の生徒たちの、どこにでもありがちな青春の感傷、不器用さを描き出しながら、異様な秘密が暗い想像力によって徐々に明らかになっていく。
太陽蠍座らしい細かい心理描写、抑えた筆致・・・ひさ〜しぶりに現役の作家の長編本を読み通せた。

この作品のような世界が来ないようにという警告、どこかの並行世界にあるかも知れぬこの作品が描いているような世界を思うことの意味について。このように悲劇的な状況だからこそ研ぎ澄まされるものもあるという「救い」。一見当然のことのように思われる、救われたいという人間の欲がグロテスクになる前に、どこかで歯止めをかける必要性について。

グレッグ・ベアの短編『姉妹たち』をなんとなく思い出す。


用事で自由が丘へ。



(『姉妹たち』をルーディ・ラッカー作とうっかり書き間違えているのを、2010.12/29 入浴中に突然思いつき、修正。
このあいだアップしたばかりの過去日記でよかったわい)