RUBIDIUM ATOMIC CLOCK

Clock Generator のデモ機を3台お借りしている。
Antelope Audio の Ischrone OCX、Trinity、それからルビジウムによるアトミック・クロック・ジェネレイターの 10M だ。
外部クロックの必要性をあまり感じていなかったのだが、入り組んだ接続することも今後は多くなりそうなので、現実的な選択肢としてはどんなものがあるのか、さらには、最近のもので一番ポピュラーで評価の高いものを試してみよう!、と。

アメリカのショップからの話で、「10M とTrinity / OCX / OCX-V の組み合わせはとにかく良いし、Antelope はまさに今の音、入ってないスタジオの方が珍しい(アメリカの場合)」、と。確かに自分が好きなプロデューサー、エンジニアたちの仕事場の写真にはルビジウムの 10M と、その原子クロックを受けて Word Clock を分配する、もう一台の Antelope のジェネレイターがラックに収まっているのをよく見かける...。


丸2日使ってみて(オーディオ・インターフェイス、ADC、DAC の3機に供給、DAWCubase 5.5.3)... 
Antelope 10M、すんごく良いです。
今のところ、48KHz のプロジェクトで使用。最初は OCX のみで試聴。なるほど、劇的に変わるというわけではないが、確かに違う、これはこれでありかな。というか OCX も良かったはずだけど、どんな傾向だったか忘れちゃいました。
だって 10M のルビジウム・クロックで Lock したら、もうぜんぜん違うんだもん。最初は地味な変化に感じたけど、音をいじってみたらすぐに違いがはっきりとわかった。
それが同じルビジウム・クロックを突っ込んでも OCX と Trinity で印象が違う。自分は Trinity のが好みかなー。派手さはOCXのほうがあったかなー、でももう一度つなぎ変えて聴いてみないと、はっきりしたことは言えないな。

それにしてもびっくりした。ありがたいなー、こんな経験が出来て。
とにかく音をいじっていて楽しくてしょうがない。いじったときの変化がわかりやすいし、気持ちいいのだ。少しのレベル・チェンジや少しの EQ で、他のトラックを巻き込んだ全体の音質変化、バランスの変化が今までよりもさらに見えやすいというか。左右もそう。奥行きもそう。センターもぐっと出てくる感じ。肉付きが生々しい。普通に自然。定位に余裕がある。広い感じ。空間がある。

つまり、これを入れると音がけっこう良くなってしまうのだった。楽しい! たとえサミング・アンプにパラ出しして混ぜても、今までのクロックじゃDAWはやっぱり飽和した感じの音だったんだな、なだらかさに欠けるというか。Antelope 10Mは、アナログにより近づいてる音、と推測します。

最初、Antelope の方(かた)には「10M は確かにいいだろうけど、予算的に厳しいかな〜(高価過ぎ〜)」と言っていたのだけど、これはあると良いです。今までいったいなんだったんだろう... そう言いたくなってしまった。デジタル・オーディオ・システムの基本機能・基本性能にとって、やはりクロックは超重要なのですね。

もっと実験したらまた報告したいと思います。(今まだ興奮しているので、落ち着いたらまた書きます)

このクロックという分野もこれからまだまだブラッシュ・アップされていくんでしょうか。そのときどんな音を聴けるんだろう。「デジタル・オーディオ、いよいよこれから、凄く凄くなっていくのかも知れない」、これは自分にとっては、そんな夢をリアルに思い描ける体験。超良質なクロック、(制作サイドでの)DSDの普及、PC などの更なるパワー・アップ…。ルビジウムよりもさらに精度の高い、セシウム・クロックもすでに販売されているようです(精度が高すぎて音が硬いらしく、また、一定の条件下で爆発する可能性もあるとか。それにものすごく高価。でも音、聴いてみたいかも)。

3/17 加筆
と、盛り上がってセシウム・クロックなどについて調べていたら、セシウム・クロックを積んでいるGPS衛星を利用して、家庭で超高性能のマスター・クロックを実現されている方などいらっしゃるようで、しかも安価で。ある程度の自作能力が必要ですが、面白い。本当なんだろうか。