Left Rightd Wow Ph(ozode

7/1 いらないぶんを少し削りました。

Boards of Canada 8年ぶりのニュー・アルバム "Tomorrow's Harvest"。
今回はアナログ盤(2枚組)を予約。発売日にちゃんと届いた。それでさっそく聴こうとターン・テーブルにのせた。せっかくだからDAWに取り込んでいろいろやってみようと。ふつうに聴くだけじゃあもったいない。左チャンネルと右チャンネルを別々に録音(いや、まあ、Phono EQの右チャンネルが突然音出ないから「じゃあ片チャンずつでいいじゃん」と。笑)。頭のタイミングも合わせず、ターンテーブルもSL1200とかじゃなく同じテクニクスでももっとふるーい30年以上前のコンシューマー機をあえて使う。左右別々に録音(つまり2回録音)すると、デジタル・プレイヤーじゃないので毎回ワウ・フラッターが変化するし、スピード自体わずかに違ったり。一枚目、両サイドをとりあえず録る。

その状態でまず左チャンネルの信号だけ聴いてみる。パンはセンターで。そのあとレコードを別のDJミキサーを通してもう一回かけて、ふつうのリスニングをする。なるほど。左チャンネルだけとはぜんぜん違う。時間をおいて今度は右だけ聴く。

一枚目は右チャンネルが気に入った。なかなかいい。

次に、波形を見ながら左右のタイミングを大まかに合わせてみる。
右チャンネルの方が若干速くて、最初の方はタイミングあっていても、時間の経過に伴ってずれて行く。それでもちゃんと音楽になっている。拡がりを感じる。

次に Side One と Side Two をミックスして聴く。レベルはイーブン。タイミングは偶然性を採用する。Side One冒頭の、いつものニュースのジングルぽいファンファーレのテールに、Side Two がかぶさる感じで。
これがけっこう良い。すばらしい。3回くらい聴いてしまった。左右でだんだんずれていくのもデチューン感、絵画感を増している。それ以上に情報処理の仕方として面白い。今回のは Side One と Side Two で"波"の駆け引きがたまたまうまい具合で、なぜかかみ合っている。そうじゃなくても面白いだろう。
今まで三枚のアルバムを同時がけ(ジャンルもタイミングもピッチもテンポも適当)みたいなことは楽しんでいたが、このやり方はそれともまた違い、面白い。

上記のような方法で、まだ半分(一枚目)しか聴いてないし、作品そのものの感想はまだよくわからない。
なぜこんなに暗い感じなのか。まるでWARP以前のカセット作品のころの"無検閲感"に戻ったような印象も。あのカセット・アルバムはもっと能天気なトラックや小品がたくさん入っていたし、音的に似てるというわけではないけど。制作においての自由があるということ。「明るい作品、もっと入れなくちゃ」という縛りがない。
タイトルやアートワークも意味深ちゃあ意味深。まるでメローになった「残された人々」の世界。未来少年コナンの原作(あくまでも個人的な感想です。明日はまったく違う印象かも)。耳と技術で処理された、悲しいブローディガンぽくもある。「未来」の無人の西瓜糖。ソフトでドリーミーなマッド・マックス2。原発事故の影響もあるのだろうか。ついてるものの違い。と、言いたい放題です。CD版を聴いてみないと、よくわからない気もする。

昔から作業場にマジカルなノードとして本を置いていた。西暦2000年から2004年くらいはブルトンの『魔術的芸術』、アレグサンダー・ケイの『残された人々』(原題 : "The Incredible Tide")は復刊されてすぐに買って何年か前までスタジオに置いていた。こういった役割で置く本は別に読む必要はない。あれば良いと。
まだ確かなことは言えないが、しばらくはこのアナログ盤をスタジオに転がしておいてみよう。他のものとの組み合わせも何か。

(6/19 補記 CD版も上記のあと、すぐに聴いた。じぶんは好き。前の2枚より好きかな。なぜか?はまたあらためて。)


そういえばデンゼル・ワシントン主演の映画「クライシス・オブ・アメリカ」(原題:The Manchurian Candidate)(2004)にロビン・ヒッチコック Robyn Hitchcock が出演していたな、あれロビンだよな〜。で、いまあらためて確認したらやっぱりロビンでした。監督のジョナサン・デミが好きなのかな。